第1回 うたの実体験 

別府でも有数のディープスポット、「万屋 水銀、赤、水色」にて行われた「うたの実体験」。
終わってみればやっぱりただのライブだったのですが、「ぼくは本当はなにがしたいのかな?」
ということを果敢に実験してみたつもりです。

発端は万屋の山田くんと月一で気軽にやれるライブの相談をしていて、
何度かぼくのライブを観てくれている山田くんから
「どうせならいつもやってないことやりましょうよ」と持ちかけられたとき
ぼくにはなぜか「いつもやっていることは本当にやりたいことですか?」と問いかけられたような気がしたこと。
きっと同じことをイメージしていると感じて「うたの実体験」というコンセプトが出来上がったのです。

はじめ漠然と実験的なことをやるような気がしていたけど
日が迫るにつれ、なにもぼくは突拍子もないことがやりたいんじゃない、
エキセントリックなことはやろうと考えて準備した時点でエキセントリックでなくなるものだし
いつもやりたくて、でもなかなかできなかったことは
見た目とか、パフォーマンスのことじゃなくて、もっと精神的なことなんだ。

具体的にいうと
「ライブを盛り上げようとしない」。

な〜んだ、そんなことと思うかもしれませんが
どんなにたくさんライブをしていても、いつも今までで最高のライブをしようと思ってやっていると
なかなか試すことができなかったんです。

うたの力を信じられたら、やらなくていいことを全部やめてみる。
手拍子も求めないし、コールアンドレスポンスもしないし、曲の説明もしないし、過剰にからだでリズムをとったりしないし
ギター弾くのやめて踊ったりしないし、いつも絶対やる曲だったりアレンジ、ライブの構成にこだわらない、などなど・・・

いつも無理矢理やってたわけじゃないけど、「こうすると盛り上がる」というのを経験してしまうと何度でもやってしまう。
たのしいことはうそじゃないけど、やろうとする瞬間とやっている瞬間がだんだんずれてくる。
それをやりきるのがプロなのかもしれないけど、ぼくはどうなんだろう?

歌い方もそう。何度もうたうごとに、声の出し方についてなんとなく実感がなくなってくる、というか
うたっていて自分自身に驚きがなくなってくる、というか
本当はどこまでもいけるのに、どんな歌い方だってできるに、どこかで知らず知らずストップをかけているような気がしていた。
「こうやるとこうなる」じゃなくて「気がついたらこうなってた」という状態に自分の魂を置こうとしました。

まだまだぼくのことを知っている人の少ない地元別府で、
こんなことを試すのはぼくとしては強い決心がないとできないことでしたが
オープニングで歌と紙芝居を披露してくれた山田くんがぼくを気持ちを揺るがないものにしてくれました。

山田くんは、ほんとに「いつからこんな山田くんなの?」と聞きたくなるくらい
現実と向き合いながら現実離れしていて、アイロニカルなようでその100倍はロマンチックな青年だとぼくは思ってます。
合唱曲でなじみ深い「夢の世界を」の気に食わない部分の歌詞を
「さあ、憎み合おう もう二度と忘れられないくらいに」(うろ覚え)
みたいにうたってくれました。
うたっているときの面構えは、普段ライブしまくっている人にはできない面構えで、それがとても素敵でした。
歌も胸に迫った。

紙芝居はこのために書き下ろしてくれたという
「もたろうがいた」というお話。
有名な桃太郎の桃の遥か後方を流れていた「もたろう」が海に流れ着き
カモメのジョナサンに出会うというストーリー。
「自分は何者で、なにをする為に生まれてきたのか」
という一生ものの疑問に取り組む気合いの入った作品で、
その読み方、間の取り方も本気さがびんびん伝わってきました。

なにしろその日、午前中に近所の温泉で顔を合わせたにもかかわらず、お互いなにも話さなかったぼくら。
実は紙芝居をやるといってから精神的に自分を相当追い込んでいたようで吐きそうなくらいになっていたと告白した山田くん。
そりゃあおれもやらねばと決心も固くなりますよね。


1.はじめぼくはひとりだった(友部正人カバー)
…「その場で盛り上げなくたっていいのよ、友くんなんかライブでシーンとしていても何年もたってから
あの日のライブをいまでも思い出しますって言われることがあるんだから」
というのは友部さんの奥さんのユミさんから教えてもらってずっと大事にしていたことば。
今日の決心をこめて最初にうたいました。

2.オクターブ上で
…もともとうたえないキーでしか出せない声でうたいたくて作ったのに、ちゃんとうたおうとしてライブでは一音さげてやっていたけど、元のキーでうたいました。「これしかできないとわかった だからもうなんでもできるさ」という歌詞にリアリティーを感じながら。

3.奇跡が起きなくて
…いつも説明しがちだけど今日はうたうだけ。

4.うその地球儀
…リズムを変えることで言葉の入れ方、メロディーも自由に変わりました。これが最高じゃないかもしれないけど、いつものアレンジが最高とも限らない。お客さんと一緒にうたうのがお決まりになってたエンディングもひとりでうたう。

5.斜陽
…10年以上うたってきて、バンドアレンジともほとんど変えずにうたい続けてきた曲。バンドメンバーに聴かせたら
「ダサい」と言われそうなアレンジにした。

6.穴
…やるだけで新鮮な気持ちになった

7.マーガレットズロースの数え歌
…本気で全力でやったらお客さん、引くんじゃないか?という配慮?から普段ほとんどうたわないけど
どうやら大丈夫だったみたい。でも大丈夫じゃなくてもいいんだと思えた。

8.おならの話(仮・新曲)
…じんたを寝かせるときに即興で話して聴かせている創作話に曲を付けました。
たぶん「べいびー」や「穴」以来の言葉が先にできた曲。普段はだいたい詞とメロディーは同時に作ります。
おならの話だけど、久しぶりのラブソングでもあります。

9.檸檬
…ひとりでうたったことはほとんどなかったけど、またやろう

10.うたってポン
…ほぼ半分の歌詞をお客さんにゆだねていた曲をひとりで、説明なしにうたう。
当然コールアンドレスポンスは起こらなかったけど、なんかいい雰囲気だった。
盛り上げようとしないでも自然に盛り上がるのはもっとうれしい。

11.あたらしい絵
…これもほとんどアレンジを変えたことがなかったけど、軽快なロックンロールに乗せてやってみた。
悪くない。むしろいい。でもお客さんからしてみればたいした違いじゃないんだろう。

12.馬鹿一
…歌詞に、ああ、ほんとそうだよなと身につまされながら久しぶりにうたう。
「ほんとに素敵なことなのさ ちっとも意味がないって」

アンコール.「三丁目にラッパが響く」
…山田くんが同郷・新潟出身ということでぼくの故郷の思い出の曲で終わりました。
どんなアレンジになってもいいやと思いながら、どんなうたいかたもしようとぜずにやろうとしたけど
うまくいくときといかないときもあるね。それもいいのかも。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この「うたの実体験」で経験したことは、これっきりにしたらもったいないくらい
たのしくて、うたっている実感を感じることができてしあわせでした。
やっぱりぼくはうたっているときが一番たのしい。それだけでいいんだな。
ゆみこには「まだ説明が多い」(笑)と言われたけど、「盛り上げなくてよかったね」とも言われた。
こんなことができて、ずっとうたってきて本当によかったな。
鳥取から来てくれた信清さんからは「魂の共振の場だった」という言葉もいただいた。
それだ、と思いました。

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